2年程前の晩冬に、色々とリセットする為に愛知県の知多半島にある「海のしょうげつ」という旅館へ行きました。ここは伊勢湾を見下ろす高台に建っています。遠く名古屋港に出入りする大小の船が、ゆっくりゆっくり進んで行きます。そして太陽はいつも通りに海の向こうに沈んで行きます。
どうも私は昔からビーチサイドとか、海に近い場所から海を見るという景色が苦手です。目の前に遮る物が何もなく、しかも目線が割と海面に近いそのような海辺の景色は開放感を感じるよりも何か不安なんです。ここ数年自分が死に往く風景をあえて考える事が良くあります。出来ればこの写真のような海を遠く見下ろせる場所で、小屋のような質素な空間を「終の住処」としたいのです。